生きづらさを抱えた子の"本当"の発達支援!?なかなかにチャレンジングな タイトルの付け方だ。 【当事者書評 その1】

生きづらさを抱えた子の"本当"の発達支援!?なかなかにチャレンジングな タイトルの付け方だ。 【当事者書評 その1】

生きづらさを抱えた子の本当の発達支--コミュニケーションと自己コントロール編
塩出真央
『グレーゾーンの歩き方』(風鳴舎)の著者で、私の高校(養護学校)時代の恩師でもある成沢先生がまた本を出した。しかも、『生きづらさを抱えた子の 本当の発達支援』というシリーズものだ。いい機会なので、これまで保育園や養護学校で関わってきてくれた先生たちが、どんなことを学び仕事をしてくれていたのか。そんなことを知る意味も兼ねて成沢先生の本をご紹介してみたいと思います。

塩出真央(しおで まお):詩作家。1989年岡山県生まれ。先天性の脳性まひを抱えつつ大きくなりました。以下のnoteで自己紹介をしています。

今回ご紹介する『生きづらさを抱えた子の本当の発達支援』シリーズのコミュニケーションと自己コントロール編(2021年12月発売)は、発売当初、アマゾン売れ筋ランキング(保育学領域)で上位にランクインし、発売から1年以上経った現在でも30位ぐらいには入る話題書です。

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本の内容

内容を大まかに紹介すると、全体は4つの章にわかれています。

第1章は「発達を知ろう」というタイトルで、まずは、この章で子どもの発達と「生きづらさ」との関連について整理してくれます。

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イラストかわいい


第2章の「困っているから成長する」では、第1章の子どもの発達との関連の議論を発展させ、子どもの側の経験・主観と「問題」行動との関連などを具体的に解き明かしてくれます。

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イラスト満載


第3章の「育ちに役立つ知識」
では、実際の発達支援の専門性をより高めていくために必要な知識などを概観してくれます。具体的には、動機づけ尺度(MAS)や応用行動分析(ABA)、課題分析といった専門家が持つべき知識などが紹介されていくのですが、

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カッパ先生は成沢先生らしい


第4章「大人の問題が子どもに反映される」では、高度なスキルや知識を身につければ支援の質が高まるといった、単純なものではないことにお話が進みます。

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子どもは大人にコントロールされるものじゃないんだよね。


そして、

それぞれの子どもの「生きづらさ」や、先生や親御さんが避け難く抱え込んでしまう困難を、社会構造との関連で解説してくれます。その後、じゃあ、どうすればよいのか.... ここが最も大事なところだと思いますが、読者それぞれが答えを考えられるように、成沢先生のご経験をもとにしたやさしい言葉が綴られていきます。

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かぶりものは、カッパじゃなかったらしい(笑)

ただ、この本は、読んだら答えが書いてあるような安直なテーマを扱っているわけではないので、深い部分においては、紋切り型の正解が書かれているわけではありません。でも、実際に関わることで積み上げた経験知(触られることが苦手な子は、こうしたら安心するよ!とか、スケジュール表をこういう風に使うと、日課に合わせることが難しい子でも大丈夫!など)については、専門家ではない私でも、「これ、速攻役に立ちそう」といった新鮮な発見がいくつもありました。

日頃のお仕事の中で、真摯に子どもと向き合ってきた成沢先生の試行錯誤が手に取るようにわかって、私としては、それだけでも感動の物語のように読むことができました。読み物として面白いかも...というのが私の率直な感想です。

「本当」のって!?


そ、それにしても、だ。

「本当」の発達支援...............って。

なかなかにチャレンジングなタイトルの付け方だ。

いろいろ書きたいこと、言いたいことがたくさんでてきた。

長くなってきたので、ここはこの辺で一旦締めて、次回「その2」で成沢先生が「本当」のといっている部分について、何がどう「本当」なのか考えてみたいと思う。 そして、発達支援をしてもらってた私みたいな子が、その「本当」をどう捉えたか。「生きづらさを抱えた子」であった私の体験に基づいて、子どもの目線からご紹介してみたいと思います。乞うご期待。

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