『保育のサウンドスケープ』著者インタビュー 高山静子先生 福田光子先生
子どもを取り巻く音の風景を知り、園の環境づくりと園内研修に生かすための連載。
第3回 どの子も安心して過ごせる園の音を考える
子どもと保育者のために園内研修で共有したい視点
廊下や事務室では過ごせるのに、保育室には入れない。部屋から出ていく子どもに付き添いながら、どうしたら安心して過ごせるのだろうと悩む保育者がいます。『保育のサウンドスケープ』の著者お二人は、そうした場面で、保育室の「音の風景」に目を向けてほしいと話してくださいました。
その子が日々過ごす場所には、どんな音があるのか。園の環境として見直せるところはないか。音を手がかりに考えることは、子どもの安心と、保育者の負担の両方に関わります。全3回の最終回では、この視点を園全体で共有する意味を考えます。

音の風景を見直すことで、子どもにも保育者にも過ごしやすい園へ。著者お二人が本書に込めた願い。
保育室で過ごしにくい理由を環境からも考える
インタビューで話題になったのは、保育室の音がつらく、その場にいられない子どもたちのことでした。現場では、一人ひとりに付き添うなど、保育者がさまざまな対応をしています。その対応に加えて、保育室そのものの音を見直せないだろうか。お二人は、その可能性を問いかけています。
本書の第3部には、感覚が過敏な子どもと音の風景について考える内容もあります。どんな音が負担になっているのかを確かめ、保育室の環境を変えることが、そこで過ごしやすくなる助けになるかもしれません。
子どもが困っている姿に出会ったとき、その子がいる場所の音にも耳を向けてみる。何が聞こえているか、どこで響いているか、変えられるところはあるか。環境について具体的に考える視点が増えれば、園として検討できる対応も広がります。
音への配慮を園全体の環境づくりへ
お二人のお話で心に残ったのは、音のつらさが、感覚が過敏な子どもや障害のある子どもだけの問題として捉えられがちだという指摘です。他の子どもたちも、騒がしさを負担に感じているかもしれません。
朝から夕方まで園で過ごす子どもたちは、その音の風景の中で遊び、会話をし、生活しています。音に敏感な子への配慮をきっかけに、他の子にとっても落ち着いて過ごせる環境かどうかを考えたい。私たち風鳴舎も、そう願っています。
また、同じ場所で長い時間を過ごす保育者にとっても、音は日々の負担に関わる問題です。音の風景を見直すことは、子どもの環境づくりを担う保育者自身の過ごしやすさを考えることにもつながります。

子どもが過ごす場所の音に耳を向け、安心していられる環境を考える。
一冊を開いて職員みんなで音を聴く
音の環境を継続して見直すには、園長や主任を含め、職員が共通の視点を持つことが大切です。『保育のサウンドスケープ』は、子どもの育ちとの関わりから、サウンドマップの描き方、保育や空間の改善までを一冊でたどれます。園内研修で、気づきを具体的な工夫へ進めるための教材としても活用していただきたい本です。
例えば、次のような流れで取り組むことができます。
· 本書の描き方を読み、職員それぞれが保育室や園庭の音を聴いてサウンドマップに表す。
· マップを見ながら、心地よく感じた音や気になった音、子どもの様子を共有する。
· 関連する紙面を読み、おもちゃの置き方や空間など、園で変えられることを一つ選ぶ。
· 工夫した後にもう一度音を聴き、子どもや保育者にとってどうだったかを話し合う。
これは本書の内容を生かした、私たちからの研修の提案です。図や表を一緒に見ながら話し合えば、経験の違う職員も、同じ環境について具体的に考えやすくなるでしょう。
すべての園に取り入れていただきたい視点
子どもたちが毎日育つ場所を、少しでもよくしたい。その思いを持つ保育者と園長先生に、ぜひ本書を読んでいただきたいと思います。音を聴くことで、いつもの保育室の見え方が変わり、次に取り組みたいことが見つかるかもしれません。
風鳴舎として、この考え方が全国のこども園・保育園に広がることを願っています。園の共有本として、また職員が学び合う研修の一冊として、手元に置いていただけたらうれしく思います。まずは次の職員会議で本書を開き、子どもたちが聞いている音について話してみませんか。
園の共有本・園内研修の教材に。
『保育のサウンドスケープ』高山静子・福田光子 著/風鳴舎|
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