自社発信記事

足るを知りすぎた30代の雑感(塩出真央)

足るを知りすぎた30代の雑感(塩出真央)

自慢じゃないけど瀬戸大橋をざっと500回は渡った僕。30歳代になったいま、その経験を振り返ってみたいと思う。 既に書いたように、瀬戸大橋の渡橋は、僕にとっては大学への扉でもあったわけだけど、1日4時間の移動はもはや生活そのものだった。 朝の通学の車内で、昼ごはんを考えはじめるのがちょうど瀬戸大橋の上あたりだった。学食に行く時間帯を決めて、ご飯(どんぶり)の大きさやデザートをどうするかなどを考えたものだった。500食、毎回丁寧に考えたかと思うとなかなか感慨深いものがあるが、そんなふうに渡橋を楽しめていた僕。そんな自分が結構…嫌いじゃない。 とはいえ、車いすをつかっていると、橋が外され扉が閉ざされることもあったから閉ざされそうな扉には近づかない、なるたけ傷つかない無難な選択に逃げる僕もいた。そんな中、瀬戸大橋と朝凪特急はいつでも僕に開かれていて、そこでの時間は様々な局面で栄養となり、挑戦を後押ししてくれていた。 そこで今回は、渡橋の記憶を振り返り、僕なりの30代の地平を詩にしてみたいと思います。 以下の「朝凪特急」では、大学に行くのが嬉しかったころを切り取りました。1時限目の講義を絶対欠席したくなくて、寝坊した朝には、電車に間に合わせるために母の車で送ってもらうこともありました。講義の際も、睡魔に襲われて聞き漏らしてはならないと考えるほどで、朝の通学では、眠りにつくことが大事なルーティーンの一つでした(笑)。2つ目の詩は「鶏ポン」。このタイトルは大好きだった学食のメニュー名ですが、「鶏ポン」で得られた至福感と現在抱える漠然とした焦りをつなげて詩にしてみました。   朝凪特急 今朝も快晴、いつも通りの電車にのりこむ鴨方から岡山までの37分は講義中 眠くならないように目を閉じる誰に席を譲るでもなく寝落ちが許されるのは車いすの特権目覚めるといつも瀬戸大橋だ 車いすからの車窓は小さくて空が晴れているか風は強いか海は荒れているか ぐらいしかわからないでもその分 想像の世界は大きく膨らんでいく 凪いだ水面で朝陽が乱反射その光は白い欄干まで届きはじけとぶ特急が この光のループに突入すれば さながら 白銀に輝く魚の大群 僕の朝凪特急は光を集めて 加速するさあ、新しい朝のはじまりだ     鶏ポン 当時の鶏ポンの写真ではありません。ごめんなさい。 うちの大学にはミールカードという制度があって格安の年会費を払えば、1日1回、学食での食事が500円まで無料で食べられた高校時代 給食だった私にとって 学食は憧れだったから500円に収まるように工夫して 毎日学食を満喫した いちばんのお気に入りメニューは「鶏ポン」鶏肉も皮もごちゃまぜの素揚げにポン酢がしみて食欲をそそる背徳のうまさ ライスはMサイズこれにミルクプリンをつけるのが私の定番であり至福ワンコインの 「今・ここ」 に至福を味わう僕がいた「足るを知る」ことで幸せになれるというがあの時の至福をいまも同じに感じるのだろうかまた鶏ポンを食べてみたいと思う今日このごろ     鴨方の自宅から大学がある善通寺までは往復4時間ほどだった。 養護学校から大学に進学し、自分なりの可能性と未来を手に入れた僕だったがその一方で、自らの身体を受け入れ、生きる技法を身につけることは「足るを知る」ことに磨きをかける歴史でもあった。足るを知りすぎぬるい沼にこじんまりと落ち着いてしまった自分を感じる時もある。 大学からの帰りの電車は宿題と読書にあけくれ、この時間が、ティーンエイジャーだった僕に壁をぶち破る力を授けてくれた。大学を終え、次なるフェーズに差し掛かる今自分に力を授けてくれるものはなんなのか。 人によっては守るものが増え、忙しく働かなきゃならない30代。淡々と進むしかないことはわかっているが、諦めきれない未来も握りしめたままだ。足るを知りすぎた30代。この先、どんな橋と扉が待っていて自分はどんな努力ができるのだろうか。

足るを知りすぎた30代の雑感(塩出真央)

自慢じゃないけど瀬戸大橋をざっと500回は渡った僕。30歳代になったいま、その経験を振り返ってみたいと思う。 既に書いたように、瀬戸大橋の渡橋は、僕にとっては大学への扉で...

生きづらさを抱えた子の"本当"の発達支援!?なかなかにチャレンジングな タイトルの付け方だ。 【当事者書評 その1】

生きづらさを抱えた子の"本当"の発達支援!?なかなかにチャレンジングな タイトルの付け方だ。 ...

生きづらさを抱えた子の本当の発達支--コミュニケーションと自己コントロール編塩出真央『グレーゾーンの歩き方』(風鳴舎)の著者で、私の高校(養護学校)時代の恩師でもある成沢先生がまた本を出した。しかも、『生きづらさを抱えた子の 本当の発達支援』というシリーズものだ。いい機会なので、これまで保育園や養護学校で関わってきてくれた先生たちが、どんなことを学び仕事をしてくれていたのか。そんなことを知る意味も兼ねて成沢先生の本をご紹介してみたいと思います。 塩出真央(しおで まお):詩作家。1989年岡山県生まれ。先天性の脳性まひを抱えつつ大きくなりました。以下のnoteで自己紹介をしています。 今回ご紹介する『生きづらさを抱えた子の本当の発達支援』シリーズのコミュニケーションと自己コントロール編(2021年12月発売)は、発売当初、アマゾン売れ筋ランキング(保育学領域)で上位にランクインし、発売から1年以上経った現在でも30位ぐらいには入る話題書です。 生きづらさを抱えた子の本当の発達支援 (これからの保育シリーズ10)www.amazon.co.jp 1,980円(2023年08月22日 17:39時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する   本の内容 内容を大まかに紹介すると、全体は4つの章にわかれています。 第1章は「発達を知ろう」というタイトルで、まずは、この章で子どもの発達と「生きづらさ」との関連について整理してくれます。 イラストかわいい 第2章の「困っているから成長する」では、第1章の子どもの発達との関連の議論を発展させ、子どもの側の経験・主観と「問題」行動との関連などを具体的に解き明かしてくれます。 イラスト満載 第3章の「育ちに役立つ知識」では、実際の発達支援の専門性をより高めていくために必要な知識などを概観してくれます。具体的には、動機づけ尺度(MAS)や応用行動分析(ABA)、課題分析といった専門家が持つべき知識などが紹介されていくのですが、 カッパ先生は成沢先生らしい 第4章「大人の問題が子どもに反映される」では、高度なスキルや知識を身につければ支援の質が高まるといった、単純なものではないことにお話が進みます。 子どもは大人にコントロールされるものじゃないんだよね。 そして、 それぞれの子どもの「生きづらさ」や、先生や親御さんが避け難く抱え込んでしまう困難を、社会構造との関連で解説してくれます。その後、じゃあ、どうすればよいのか.... ここが最も大事なところだと思いますが、読者それぞれが答えを考えられるように、成沢先生のご経験をもとにしたやさしい言葉が綴られていきます。 かぶりものは、カッパじゃなかったらしい(笑) ただ、この本は、読んだら答えが書いてあるような安直なテーマを扱っているわけではないので、深い部分においては、紋切り型の正解が書かれているわけではありません。でも、実際に関わることで積み上げた経験知(触られることが苦手な子は、こうしたら安心するよ!とか、スケジュール表をこういう風に使うと、日課に合わせることが難しい子でも大丈夫!など)については、専門家ではない私でも、「これ、速攻役に立ちそう」といった新鮮な発見がいくつもありました。 日頃のお仕事の中で、真摯に子どもと向き合ってきた成沢先生の試行錯誤が手に取るようにわかって、私としては、それだけでも感動の物語のように読むことができました。読み物として面白いかも...というのが私の率直な感想です。 「本当」のって!? そ、それにしても、だ。 「本当」の発達支援...............って。...

生きづらさを抱えた子の"本当"の発達支援!?なかなかにチャレンジングな タイトルの付け方だ。 ...

生きづらさを抱えた子の本当の発達支--コミュニケーションと自己コントロール編塩出真央『グレーゾーンの歩き方』(風鳴舎)の著者で、私の高校(養護学校)時代の恩師でもある成沢先...

これが私の生きる道

これが私の生きる道

私と伊藤美憂さんの本、『弱いはつよい』に塩出真央さんが書評を書いてくれました。 著者:村上有香。1999年神戸市生まれ。ダウン症の有香さん、小学校4年生から詩を書き始め、NHKハート展に6回入選して注目を集める。世界中の人を笑顔に、そして世界中の人のお世話をするのが夢。 『弱いはつよい』より   塩出さんの書評には、『電車を間違えた』という詩が一番好きだと書いてありました。電車を間違えるのは、あんまり良くないけどええこと。電車を間違えるのは自由だからです。 支援学校中学部に入学後、スクールバスでの通学開始。   初めて乗った日から、スクールバスは嫌だった。 毎日、頭の上や座席の下から靴や靴下が飛んでくるし、歌や悲鳴のような笑い声で騒がしかった。おちおち眠ることも出来なかった。早くスクールバスから降りて自由になりたかった。 中学部2年生の誕生日(11月)に、その年の目標を『自力通学』と決めて練習を始め、3学期にはスクールバスを降りて自力通学が出来るようになった。 『ばんざーい!自由になれて最高!』 2016年の秋(高等部2年)に、卒業後の進路を往復3時間かかる『自立訓練』に決めました。それからは、公共交通機関を一人で乗り継ぐ練習を始めました。そして2018年4月、『自立訓練』への登所をはじめます。 登所する間の時間は、タブレットでゲームに熱中したり、CMの真似をしてオロナミンCを立ち飲みして、心の中で「プハーっ」と叫んだり、一人の時間はとっても楽しかった。 そんなある日、忘れもしない7月7日、電車を間違えた。 窓の外を見て『何で海?』と思い後ろを見たら、見たことがない駅。気が付いたら車両には私一人きり。どうなるかと思ったけど、無事に着いた。 『失敗しても一人で行くのやめへんで!』 2020年4月に高齢者デイサービスに就労。10月に『弱いはつよい』を出版。塩出真央さんは本書を読み、『弱みこそが強みという名の個性になるとも思えたのです。』と書かれています。 私は私の中にある『ダウン症』に長く苦しみましたが、今はありのまま、普通に生きています。 私は職場では、・毎日笑顔で「はい、分かりました」・「すみません」は言わずに「頑張ります!」・1日200回以上の「ありがとうございます」 をモットーに頑張っています。 だけど、避難訓練などの特別な行事で、意味が分からなくて『どうしようー』と心配になると、腰が抜けてうつぶせに倒れます。そんな時は、少し休んでから電話で母の声を聴くと、気持ちを切り替えて次の仕事ができます。 今の職場であるデイサービスで、私が「この仕事100歳まで頑張りたいねん!」と言ったら、ご利用者様が「それじゃあ私も頑張って長生きする!」と言ってくださいました。 「笑顔素敵やで」「連れて帰って床の間に飾りたい」「結婚するでぇ」「ビールはあかんで12歳やろ」「若いっていいなぁ」などとも言われます。 職員の皆さんは、「村上さんがいるだけで自分たちの仕事が楽になる」「いつも洗面所を綺麗にしてくれてありがとう」「笑顔に癒される」と言ってくれます。 私には皆のように『トイレ誘導』とか、『入浴のお世話』とか、力仕事は出来ませんが、皆が幸せになれる笑顔を持っています! できないことにとらわれず、できることを一生懸命して個性を輝かせる!それが私にとっての『弱いはつよい』です。 勤続80年、私は笑顔で頑張ります!   弱いはつよい 1,760円...

これが私の生きる道

私と伊藤美憂さんの本、『弱いはつよい』に塩出真央さんが書評を書いてくれました。 著者:村上有香。1999年神戸市生まれ。ダウン症の有香さん、小学校4年生から詩を書き始め、N...

農作物に囲まれながら考えてみた  <作業所ファームの日常>

農作物に囲まれながら考えてみた <作業所ファームの日常>

前向きにケ・セラ・セラ 私は今、笠岡市神島にある就労継続支援作業所B型で利用者として週5毎日働いています。午前中は、室内でフルーツキャップを半分に折る作業と事務作業を中心に作業しています。ちなみに、僕の作業所ではフルーツキャップのことを“フルーツネット”と言います。いったい誰が言い出したのか七不思議のひとつです。あっ七つもないか。 フルーツネットに関するものだけでも、たくさんの作業があります。フルーツネットを半分に折る作業。次が、その半分に折ったものを五つにまとめて輪ゴムできれいに止める作業。次が、大きめの段ボールに詰めて納品用の袋に詰める作業。この中で私は、フルーツネットを半分に折る作業しかできません。 就労継続支援事業B型とは、障害者総合支援法に基づく福祉サービスのひとつ。雇用契約に基づく就労が難しい者に対して、就労機会及び生産活動の機会を提供する(出典:厚生労働省サイト)。        作業所に来たばかりのころはそれじゃあつまらないかなと思い、なんか負けているみたいで嫌だったので、いろいろ練習して半分に折る作業以外もやってみましたが、どれもうまくできませんでした。ここまでやってみたら、諦めるというマイナスな意味ではなく、自分ができることを精いっぱいにやればいいと吹っ切れた。そこからはケ・セラ・セラ。どうやったら自分ができることの精度を上げるか。早く正確に折ることだけを考えて作業に没頭できるようになりました。 昼食は、併設するパン屋さんでサラダセットと好きなパンをひとつ選び、毎日欠かせない飲み物がラッシー。少しヨーグルト多めが好き。これを飲むと、お腹の調子がいいので欠かさず飲んでいます。もう一つここでの自分のこだわりがあります。なるべく500円以内に抑えることです。ロシアによる侵攻だけが理由ではないかもしれませんが、理由はさておき、小麦を中心に原材料価格の高騰が止まらないからパンが高い。本当に戦争をやめてほしい。仮にやめてもすぐ原材料価格が下がるわけではないと思うけれど、以前と同じ値段で、おなかいっぱいパンが食べたい。 パンやパン職人さんには罪はありませんが、やっぱりパンが小さくなってしまうじゃないですか。一口では食べられないほどの大きなパンが食べたい。サイズが小さくなるだけでおいしさは変わらないけど、パン一つとサラダセットでは物足らなくなったから、ふりかけおにぎり一つも欠かせません。母にはいつも感謝です。 さあ、今日は晴れています。雨の日以外は、屋外にあるビニールハウスで葉物野菜の苗をつくるための種を植えるのが僕の役目です。さあ、レッツゴーだ。 失敗したって構わないから  :  「みんなでひとり」 今日は、晴れているので午後からは屋外にあるビニールハウスで、ファーム作業です。うちのビニールハウスでは、高床式砂栽培という方法で、小松菜とチンゲン菜、水菜といった葉物野菜を育てています。 こういった定番のほかにおしゃれ野菜を試験的に育てたり、規模は小さいですが畑もあります。私のファームでの重要任務は、こういった野菜たちの苗づくりです。その苗をつくるには、約100個の格子状のパレットに砂か土を入れて固めたら一個一個丁寧にドライバーで穴をあけます。これも穴が浅すぎても深すぎてもダメなんです。絶妙な力加減が必要です。慣れれば誰でもできるとは思いますが、根気がいる作業です。 すべてに穴をあけたら、ピンセットで種を一つずつつまんで丁寧に植えていきます。種は一つがとても小さく、これもかなり根気がいります。種の色が青色にコーティングされたものなら植えやすいのですが、黒とか茶色とかだとまた神経をつかいます。今私が任されている作業は繰り返しになるかもしれませんが、とっても集中力がいる作業なので、他のメンバーもやりますが、肩がこったり、目が疲れたりなかなかむずかしい作業の一つのようです。 今はもう私も慣れて、「晴れていたら毎日来てくれ」と頼りにされるぐらいで、やりがいも感じていますが、ここで働きはじめた当初から参加していたわけではありませんでした。このファーム作業を、立ち上げ当初から支えている利用者さんが、僕にこんなことを言ってくれたのです。 「ファームはな、みんなでひとりなんだ、それぞれができることを精いっぱいやればいいんだ、失敗なんか、構うものか」と。 最初、作業所を見学したときファーム作業も一通り見学しました。そのとき、やりたくない作業だな。。。とは思わなかったものの、ピンセットを使う細かい作業だからできないだろうと思っていました。ピンセットなんか使ったことないし。 でも、「やってみたら?」と何度も誘ってくれるし、失敗しても構わないと言うし、発想を変えてやってみることにしたら.....意外とできちゃいました。この作業はとくにノルマもなく、そもそもB型だからノルマなどはないのですが、ていねいさが求められ、ゆるやかに納期設定もあって、自分のペースで没頭できる点が私に合っています。誘ってくれてサンキューです。 じゃがいもの花と広島 ファームで農作物に囲まれていると、気づかされることがたくさんあります。ファームの静かな環境は、自分の感受性の強さや過敏さから解放される機会でもあり、また、頼られていると実感できることも多いので、やりがいを感じながら精いっぱい取り組んでいます。 その気づきをいくつか紹介したいと思います。同じ袋の同じ野菜の種でも、一つ一つ成長は個性的です。一個数ミリの種にもそれぞれ生命が宿っているんだなあ、大きくなれ、大きくなるんだぞと、唱えながら丁寧に植えています。だけど、そんな風に自分なりに愛情を込めながら作業しても、全体の二~三割はどうしても発芽しません。そういう事実があるからこそ、毎回、この作業から慈しみの心を学んでいるような気がしています。 それから、ハウス横にじゃがいも畑があると書きましたが、じゃがいもは、じゃがいもの花が枯れ落ちると収穫時期だといわれます。ひまわりやチューリップは私を見てと言わんばかりに、球根の栄養をつかって咲き誇りますが、じゃがいもは違います。栽培するのも簡単で、寒い土地でもよく育ちます。さらに1年間のうちに複数回収穫ができるので、食糧不足の危機を何度も救ってきたという歴史もあるようです。そうした背景から、「恩恵」「慈悲」など、まさに大地の包容力を感じさせるような花言葉がつけられていて、じゃがいもの花は、鮮やかな色で咲き誇るお花たちとは存在意味さえも違うもののように思えます。植物も人間みたいですね。同じ地球上にいる生命体です。美しさで魅了してくれる花も、枯れることで収穫時のサインを出してくれる花も尊いなぁと思わずにはいられません。 おわりに そして、最後にもう一つ。G7サミットが広島で開会されましたが、いうまでもなく、日本は唯一の被爆国です。そんな戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えることのできる地で世界平和と世界の発展について話ができたことは、非常に有意義なことだと思います。 牧野富太郎の名言の中に、“雑草という草はない”という名言がありますが、広島に原爆が投下された直後、この場所にはこれから70年間は草花は生えないと伝えられたそうです。市民やそれを聞いた人たちは、絶望したことでしょう。 ところが、少し時間が経過し、焼け野原になった地面にも緑がパッと顔をだしたそうです。そんな時、それを雑草だと思った方は少なかったのではないでしょうか。生命力に充ちあふれ、明日もがんばろうという希望になったのではないでしょうか。 私の作業所では、みんなそれぞれ得手不得手があります。それぞれができることに没頭し、補い合って「みんなでひとり」という感覚を共有することができています。...

農作物に囲まれながら考えてみた <作業所ファームの日常>

前向きにケ・セラ・セラ 私は今、笠岡市神島にある就労継続支援作業所B型で利用者として週5毎日働いています。午前中は、室内でフルーツキャップを半分に折る作業と事務作業を中心に...

グレーゾーンを生きることを考えてみた

グレーゾーンを生きることを考えてみた

今回、書評をさせていただく本は、2022年10月に風鳴舎より刊行されました『グレーゾーンの歩き方 発達障がい・グレーゾーンの世界を理解する本』です。この本は、発達障がいの人が経験している日常を理解するための本です。これまでの発達障がいに関する本は、専門家目線の病態説明書が多いようですが、本書は、ご本人の視点から、その時の気持ちや困りごとがまとめられているのが特徴です。   著者・監修者紹介 著者 成沢 真介(なりさわ しんすけ) 元特別支援学校教諭。荘子とH.D.ソローに影響を受ける。日本児童文学者協会にて丘修三氏より児童文学を学ぶ。30年に渡る療育の経験からたくさんの発達障がいの子どもたちと出会う。児童書「ADHDおっちょこちょいのハリー」「ジヘーショーのバナやん」(少年写真新聞社)の他、「先生、ぼくら、しょうがいじなん?」(現代書館)、「虹の生徒たち」(講談社)、「生きづらさを抱えた子の本当の発達」(風鳴舎)など著書多数。文部科学大臣表彰、日本支援教育実践学会研究奨励賞兵庫教育大学奨励賞を受賞。 監修者 瀧 靖之(たき やすゆき) 東北大学加齢医学研究所臨床加齢医学研究分野教授。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター副センタ―長。脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIは16万人に上る。「脳医学の先生、頭がよくなる科学的な方法を教えて下さい」共著(日経BP)、「回想脳 脳が健康でいられる大切な習慣」(青春出版社)、講談社の動く図鑑MOVEシリーズなど著書多数。 成沢先生の人柄 著者の成沢先生は僕の恩師です。成沢先生に初めてお会いしたのは、高校に入学した時でした。僕には先天性の脳性まひがありますが、義務教育の9年間は普通学級で過ごしました。高校からは大人の事情、「高校の階段問題」に阻まれ養護学校に進むことになります(第2回連載)。 義務教育の9年間は、困ることがあれば助けてくれる友だちがいたので、高校に入っても同じような生活が続き、軽音楽部や文芸部といった部活や、文化祭で青春を謳歌できるものと思っていました。しかし、自宅から5分もしないところに全県学区で非常にオープンな県立高校があったのに、その高校に受け入れてもらうことはできず、毎週月曜日になったら、2時間くらい朝早く起きて、学校へ行き、平日5日間は寄宿舎での集団生活をしなければなりませんでした。本当に苦痛でした。結果的には自分でできることが増えたわけですから、感謝しなければなりませんが、当時は苦痛でしかありませんでした。ホームシックといった単純な言葉では片付けられないような感情だったと思います。皆さんはご経験あるでしょうか。 成沢先生は私の担任ではなかったけれど、進学を拒絶された落胆から抜け出せない僕を呼び止めてくれました。あれは確か、ゴールデンウィークが明けたばかりの登校日だったと思います。 誰もいない教室で二人きりになった時、成沢先生はこう言ったのです。 塩出君、僕もこの学校には来たくなかったんだ。私は、発達障がいの専門家だよ。長崎に勉強に出向いたり、余暇のすべてを発達障がいの理解に費やしてきた。発達障がいへの理解が深まるように、そういう視点が社会に広がるように、私がどれだけ尽力してきたか。現場に立って生徒と接することで道をつくってきた自負があるけど、だけど、現場はここじゃなかったんだよ と。それで、僕はこう言ったのです。 「でも、先生、我慢しなくちゃいけないんでしょ」 「そうだよな」 もう一度先生をみると、成沢先生は養護学校の先生の顔に戻ってた。その後、お互いがんばろうと握手をしたのを覚えています。 あの時からだいぶ時間が経って、近頃先生とお会いした時、先生は「僕は人に怒ることができないんだよ」と言ってましたね。だけど、養護学校のあの時は、僕に言わせれば十分怒ってたよ、先生。口に出しては言わなかったけど(笑)。 不条理を噛み締めてるのは僕だけじゃないと思えた先生の顔。ああいう体験の教育効果って大きいと思うよ、先生。 成沢先生は、興味のあること以外はおそらく無頓着でファンキー。もう少し食事に気を遣って長生きして、まだまだいい仕事をしてほしいです。先生、期待してるよ。 グレーゾーンを生きるということ この本を読んで、僕は自分自身が 《時計のない公園》 にいることを再確認しました。 薄々気づいてはいたものの、《やっちまった火山》 以外の特性は思い当たる節がありすぎて、不安が募り、怖くなるほどでした。自分のことは自分が一番知っていると思ったけれど、そうでもないということを改めて考えさせられました。そんな風に自分のグレーゾーンと向き合う本、この本はそんな位置付けの本だと思います。 再確認と言ったらどこか不自然かもしれませんが、母は、僕が《時計のない公園》にいることを認識しています。それがグレーゾーンの特性だということを理解しているかどうかはわかりませんが。でも、親は子の特性や個性を理解して受けとめるだけで十分だろうから、まぁ、いっか。「親の気も知らないで」って怒られそうだけど(笑)。 母はこういうのです。「あんたの体内時計は壊れてる。壊れてないのはお腹が空く感覚時計だけ。それだけはきっちりしてる。宝塚のこども園に通っていた時から『真央君は将来時計の概念がなくて困ります』って先生方に言われたけど、しょーもないことは覚えてたり、没頭したり。もっと肝心なことがあるでしょうが」。 そうです、僕は普通の人にとっては肝心なことが全く気にならないし、それらを上手に片付けたり、無難に付き合っていくことが苦手です。多分、私はグレーゾーンを生きているのです。...

グレーゾーンを生きることを考えてみた

今回、書評をさせていただく本は、2022年10月に風鳴舎より刊行されました『グレーゾーンの歩き方 発達障がい・グレーゾーンの世界を理解する本』です。この本は、発達障がいの人が...

花里菜ちゃんの夢は、Flower & Book & Art がテーマの、世界の「食」を楽しめるお洒落なWorld Cafe

花里菜ちゃんの夢は、Flower & Book & Art がテーマの、世界の「食」を楽しめる...

子供地球基金をご存じですか?代表の鳥居晴美さんは、子ども達の心のケアのために、ウクライナにもすぐに飛び、トルコ地震の時にもホテルがない状態でも現地入りされるようなエネルギーあふれる勇敢で素敵な方です。心から尊敬しています。その子供地球基金が主催の子どもたちの夢を応援するプロジェクト、 Kids Talkにお邪魔してきました。風鳴舎発行人、青田です。日本での開催は8回目になるそうです。子供地球基金 https://www.kidsearthfund.jp/ さて、今回の主役はこの4月に中学3年生になった永井 花里菜ちゃん。花や緑とアートあふれる、美味しいスイーツも食べられて新しい何かと出会える、WORLD BOOK CAFEを作るのが夢ということで、本に携わる身としてはどんなプレゼンが繰り広げられるのか興味津々で出かけました。 花里菜ちゃんはアメリカ・シアトルで生まれ育ち、5年前に東京へ引っ越してきたそうです。当初は言葉や文化がよくわからず(理解するのは本当に難しい‥)、孤独感や寂しさを感じていたそうですが、そんな辛さを楽にしてくれたのは、本の世界に没入すること、絵を描くことでした。 カフェでお茶やコーヒーを飲み、デザートを食べながら勉強をしたり、読書を楽しむことで、毎日の小さな幸せを感じられるようになりました。 毎日感じられる小さな幸せって、大事ですよね・・・ 花里菜ちゃんの作りたいカフェの、プレゼン内容は次のようなもの。子どもも学生も大人も、心地よく時間を過ごせるミニ図書館のような建物。棚には様々な言語の本。美しいアートや旅に出たくなるようなトラベルブックや写真集がたくさん。 あと、やわらかい、肌触りのいいクッションがたくさんある(ここがすごく重要!と力説(^^)。忙しい日々の中で、のんびりエネルギーをチャージできるよう、花と緑があふれる空間。 花と緑があふれる空間 空間の「色」まで考え済みの花里菜ちゃん。earthyな「茶色」がキーカラーの店内だそうです。 ”earthy”(素朴な茶色、土色)と、ネイティブの発音で言われた時には耳に心地よくて、ああ、そういう空間なのね~と、感性の部分で伝わってきました。 earthyな空間 小さい頃に、お母さまがお仕事で海外へ出かけた際、その国の美味しいお菓子を持ち帰ってきてくれたことをきっかけに、異文化に興味を持ったそうです。スリランカの「ワタラッパン」ってご存じですか?私は全く知りませんでした。スリランカでは人気のお菓子で、ココナッツミルクと、ハクル(すみません、なんのことやら💦)で作るプリンのようなもの。(ハクルとはヤシの蜜のことらしいです)。そのお菓子を食べた時に、ほんとに美味しい~!っと思って、そこから「食」を通して、より世界の多様性や広さを感じたいと思うようになったそうです。 ワタラッパンを説明する花里菜ちゃん。笑顔で本当に楽しそうなプレゼン 小さい国の「食」についても伝えたい。たくさんの「新しい」に触れられる場所を作りたい。心が次のステージに上がっていく、プログレスしていく、そういう場所にしたい。触ったり見たり、味わったり、フィールして人は変わっていく、次の段階にいくものだと思っていて、このカフェではたくさんの「新しい」に触れられるようにしたい。(スウェーデンのセラム、スペインのボルボロン、イギリスのバノフィーパイ、トルコのロクムの写真を見せてくれました(世界の伝統的なお菓子)) 私は1つも知らなかった💦世界のお菓子たち それから、日本の給食の話も出ました。毎日牛乳が出るので、飲んでいたら、毎日お腹を壊すようになって、なんでだろう?新しい学校だから環境が変わったから??としばらく様子を見ていたら、なんと自分は乳糖不耐症だったことがわかったそうです。調べてみたら、日本人の実に3人に2人が乳糖不耐症だということもわかり、そういうことに気をつけたものを提供したいと思ったそうです。(ちなみに・・コンビニでも売っているオーツミルクが花里菜ちゃんのおすすめ^^「ほんとに美味しいの~!」♡だそうです) それから、屋上には「子どもも参加できる」ミニガーデンを作る。学校では、数字を見たりして学ぶより、自分で手で触って感じて、時間をかけて育てる体験、それがほんとに重要だと思っていて。「触って味わって、新しいものに出会って、というのが本当に大切なことだと思っているんです。それが人生、みたいな」タネからまいて、野菜を収穫するのは花里菜ちゃんがお母さんと弟君とやってきたことなんだそうです。屋上で育てて、摘んだばかりのエディブルフラワーやハーブを使ったお菓子を作って、カフェでみんなに味わってもらう。 エディブルフラワーやハーブを使ったお菓子 自分が食べたこともない、見たこともない世界観に触れることで、自分の「世界」が広がる。小さな幸せを味わい、体験できる場所を作りたい。旅というのは、物理的にいくのももちろんいいけれど、行かなくても、家の中でもできる、お花を育てることでも感じられるもの。将来は、自分のように「食」を通して世界を少しでも近くに感じたい人、忙しい日々の中でのんびりエネルギーをチャージしたい人のために、花と緑が溢れる癒しの空間で、世界の旅、料理などの本と美しいアートに囲まれた Flower & Book & Art がテーマの、世界の「食」を楽しめるお洒落なWorld...

花里菜ちゃんの夢は、Flower & Book & Art がテーマの、世界の「食」を楽しめる...

子供地球基金をご存じですか?代表の鳥居晴美さんは、子ども達の心のケアのために、ウクライナにもすぐに飛び、トルコ地震の時にもホテルがない状態でも現地入りされるようなエネルギー...