『保育のサウンドスケープ』著者インタビュー 高山静子先生 福田光子先生 全3回【第1回】

『保育のサウンドスケープ』著者インタビュー 高山静子先生 福田光子先生 全3回【第1回】

『保育のサウンドスケープ』著者インタビュー 高山静子先生 福田光子先生

子どもを取り巻く音の風景を知り、園の環境づくりと園内研修に生かすための連載。

第1回 保育にサウンドスケープという新しい視点を

子どもが育つ音の風景を見つめる日本初の本 

保育に「サウンドスケープ」という概念を結びつけ、子どもを取り巻く音の風景から環境づくりを考える、日本初の本。高山静子先生と福田光子先生による『保育のサウンドスケープ』を刊行しました。

子どもたちが朝から夕方まで過ごす園には、どんな音があるでしょうか。笑い声、保育者の声、おもちゃを動かす音。毎日聞いている音に耳を向けると、目で見ているだけでは気づかなかった保育の姿が見えてきます。本書に込めた思いを、お二人に伺いました。

『保育のサウンドスケープ』著者の高山静子先生(右)と福田光子先生(左)。子どもを取り巻く音を、保育の環境づくりにつなげる。

子どもはどんな音の中で育っているのか

「保育者が子どもを取り巻く音の風景に気づいてほしい」。高山先生が本書の趣旨を語るとき、最初に挙げたのは、この願いでした。

サウンドスケープは、サウンド(音)とランドスケープ(風景)を組み合わせた言葉です。保育室や園庭で、子どもがどんな音や声を聞き、どんな音の景色の中で育っているのか。その視点を持つことが、よりよい環境をつくる出発点になります。

園の環境を考えるとき、家具の配置やおもちゃの種類には目が向いても、そこで聞こえる音までは十分に意識できていなかったかもしれません。本書は、その音を手がかりに保育を見直す一冊です。第1部では音の環境と子どもの育ちとの関わり、第2部では音の風景を描くサウンドマップの方法を紹介。第3部・第4部では、保育や空間の工夫によって音の風景をよりよくする方法を示しています。

園によって違う音の質に気づいた

福田先生は、海外でリトミックを学び、さまざまな保育園や幼稚園で子どもたちと音楽を楽しむ活動をしてきました。その経験の中で気づいたのが、園によって音の種類や質が違うということでした。

その違いは、音の大きさを測るだけでは十分に表せません。同じくらいの大きさでも、叫び声と楽しそうな笑い声では、聞く人が受け取るものが違います。どんな音が、どこから、どのように聞こえてくるのか。福田先生は、その「質」を捉え、保育者自身が気づける方法を研究してきました。

インタビューでお二人が強調した本書の新しさは、サウンドスケープの視点を保育に結びつけ、音の質を環境づくりへとつなげた点です。サウンドスケープという概念自体には歴史があります。その視点を、毎日の保育で使える形にまとめたところに、本書の先駆的な意義があります。

見えない音を保育者が共有できる形に

そこで福田先生が開発したのが、保育の現場で使うためのサウンドマップの描き方です。聞こえる音を形や大きさ、色などで表し、音の風景を目に見える形にしていきます。

サウンドマップという方法を保育に取り入れるには、保育者が描けるよう、表し方を整理する必要がありました。どんな形なら音や声の特徴が伝わるか、どう示せば現場で使いやすいか。一つひとつ検討を重ねて、現在の方法にたどり着いたといいます。本の中では短くわかりやすく紹介されていますが、その数ページには、研究と開発の積み重ねが詰まっています。

サウンドマップの描き方の紙面|形や大きさ、色で音の風景を表すサウンドマップ。聞こえている音を、職員同士で共有する手がかりに。

「なんとなく騒がしい」という感覚を、具体的な音の風景として見つめ直す。職員同士でマップを見ながら話せば、同じ保育室でも気づく音や声が違うことや、見直したい場面を確かめられるでしょう。園内研修で取り組む入口にもなる方法です。

子どもは毎日、その園の音の中で育っています。園の環境づくりに携わるすべての方に、まずは本書を開き、ご自身の園の音を思い浮かべていただきたいと思います。次回は、おもちゃの置き方や保育者の関わりと、音の風景とのつながりを紹介します。

『保育のサウンドスケープ』高山静子・福田光子 著/風鳴舎|

書籍の詳細・ご購入はこちら

https://fuumeisha.co.jp/products/059

紙面の文字の大きさ、書体を何度も何度もやり直したこだわりの1冊です。


 

 

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