本書は実際にヤングケアラー当事者だった9名の方から聞き書きして作った本です。
10のストーリーで彼ら彼女たちの人生を旅にたとえ、「旅人の日常」、「旅人のエピソード」という項目でまとめています。
10のテーマを扱っており、テーマごとに、なぜそうなるのか、の理由などを説明しています。
また、本書は、機能不全家族のストーリーを扱いますので、家族機能がどう不全であるのかを、行動、精神面、コミュニケーション、環境面の4つの切り口で解説しています。
巻頭にはその機能ごとに逆引きして読むことができる逆引き目次をつけていますので、家族機能がどう不全であるのか、という視点からお読みいただくこともできます。
また、子どもたちのことを知りたい、力になりたいと思っていただける大人の方には、「周りの大人にできること」の項目をぜひお読みいただければと思います。子ども達とつながってくれる大人が一人でも増えることを願っております。
◆旅のストーリー1 嘘で世界を守りたい
嘘つきまくりの正義の騎士
◆旅のストーリー2 家族を守るのが自分の役割。今日も任務をまっとうする
リトルガードマン
◆旅のストーリー3 「ここに居てもいい?」いい子という鎧を着て安心する
鎧を着た優等生
◆旅のストーリー4 自分の居場所はどこにある?
そうだ!学校だ
◆旅のストーリー5 たった一人の大人の存在が未来を変えることもある
たった一人の応援団
◆旅のストーリー6 人生の転機には必ずジレンマが訪れる
就活・婚活ジレンマ
◆旅のストーリー7 いつも誰かのために頑張る自分。時には自分自身を労わろう限界
の扉が開く瞬間
◆旅のストーリー8 困った時に助けてくれる大人はいる。そう信じられることが生きる力に心の氷にお湯
◆旅のストーリー9 安らげる場所、困った時に逃げ込める居場所がひとつでも多くできますように
宝の箱はお散歩圏内に
◆旅のストーリー10 思い切って飛び出そう。あなたの人生は誰のものでもない、あなた自身のもの
運命がレモンをくれるなら。
プロフィール
著者:大庭美代子(オオバミヨコ)
熊本大学教育学部および熊本大学医学部保健学科卒。助産師、保健師、看護師、思春期保健相談士、小学校教諭一種、幼稚園教諭二種。認定 NPO 法人ピッコラーレ非常勤。クリニックでの育児相談業務や育児講座・性教育講演会などの講演多数。母子支援活動家としての活動は多岐に渡る。任意団体あゆみ YELL 代表。新たに10代の居場所作りにも取り組みさらに活動の幅を広げている。
監修:加藤雅江(カトウマサエ)
杏林大学保健学部健康福祉学科教授。1967年東京都生まれ。1990年上智大学文学部社会福祉学科卒業、同年より杏林大学医学部付属病院医療福祉相談室にソーシャルワーカーとして入職。2020年より現職。2016年 NPO 法人居場所作りプロジェクトだんだん・ばぁを立ち上げ、子ども食堂などの活動に取り組んでいる。同法人理事長。社会福祉法人子どもの虐待防止センター評議員、日本子ども虐待医学会代議員、NPO 法人子ども・若者センターこだま副理事長。精神保健福祉士。